白糸馨月

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お題『別れ際に』

 友達に石を渡された。彼女は私から見ると異世界から来ていて、ここ人間界に留学していた。
 それが上から人間界での役目は終わったと判断されて彼女は異世界に帰ることになったんだ。
 私は彼女とはなれて一ヶ月はずっと泣いていた。最近では一番の友だちだっし、毎日一緒にいた。当たり前のように一緒にいると思っていたから悲しかった。
 それがある時、急に石が青く光り始めた。なにかと思うと、そこから彼女の姿が小さなホログラムみたいに浮かび上がってくる。
「久しぶり。元気にしてた?」
 いつもの彼女の姿があって、私は思わず泣いた。
「……って、泣きすぎだよぉ」
「だって、やっぱり貴方がいないのはさみしくて」
「うん、私も寂しいよ」
 浮かび上がってる彼女も涙をこぼした。二人でしばらく泣いた後
「もうすぐ、そっちの世界と私の世界をつなぐトンネルが作られると思う」
 その言葉に私は思わず目を見開く。
「ねぇ、それ本当?」
「うん。王様が出した新しい企画で。まだ立ち上がったばかりだけど」
「じゃあ、それができたらいつでも会いに行けるってことだよね!?」
「うん、そうなると思う。いつになるかは分からないけど」
「そしたらまた、会おう!?」
「うん」
「絶対、絶対に会おう!」
 私は友だちにうったえたら、彼女は笑った。
「こんなに好かれて、私嬉しいなぁ」
 彼女の姿が消えかかっている。私はまだ彼女とはなしたかったけど、どうもそうは行かないみたいだ。
「もう時間が来ちゃったみたい」
「次はいつ話せる?」
「それが私にも分からない。だからね」
「うん」
「出来るだけ石をそばに置いておいて欲しいの。それでときどき様子見てくれたら嬉しいな」
「時々じゃなくてずっと見てるよ!」
「あっははは。本当に私のこと好きだなぁ」
「うん、好き、大好き!」
 そう言って私は両手でで彼女を包んで昔みたいに抱きついていたのを表してみる。すると、彼女は目をつむり、私の手によりかかるようなポーズをとって
「またね」
 と言って消えた。目の前の石はただの石に変わった。
 私は涙を拭く。
「私からもやらないと」
 でも、何を? どこからやればいいのかわからないからとりあえずスマホから検索エンジンを出して『異世界へ行く方法』と入力した。

9/29/2024, 2:39:23 AM