猫とモカチーノ

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「入道雲って、でっかいかき氷みたいだよな」
「……ごめん、ちょっと分からない」

友達の翔は、どこかズレてるやつだった。

オリジナルの星座を作り出したり、太陽から逃げようと走り出したり、文房具を人と見立てて授業中におままごとをしだしたり。

僕らとは物の見方が違うんだなぁと思っていた。
まぁ、変わってるけど悪いやつではないので、なんだかんだ毎日一緒にいるんだけど。

「えー!よく見てみろって!ちょっと山盛りの氷みたいじゃん?」
「うーん、言われていればそうかも」
「だろ?あーあ、かき氷食べたくなってきちゃったなぁ」
「食いしん坊かよ」

そんな、自分じゃ気づかないようなことに気づく翔と一緒にいるのは少し楽しいなと思ってしまう僕も変わり者なんだろうか。

「じゃあ、今からミエばあちゃんのとこに買いに行く?」
「いいじゃん!いこいこ!」

そうして、入道雲を見ながら2人で食べたかき氷はいつもよりさらに美味しかった気がする。


お題『入道雲』

6/30/2024, 7:22:21 AM