【君と最後に会った日】
「ごめん、君のこと、好きになれなかった」
そう私が告げた日に、あなたは遠くへ行ってしまった。
事故だった。研究室で起こった火災と爆発に巻き込まれたと、ニュースになっていた。それて知った。逆にそれ以上のことは、何も知らない。知らされていない。なぜなら私が他人だから。
それでも、考えてしまう。もし、私があなたのことを好きになれていたら、あなたは愛を感じてこの世を去れたのだろうか。でもきっとそんなことしてしまったら、私の心が持たない。
でも、ばっかりだ。この思いが恋かは知らないが、確かに愛だった。嫌いではなかった。ただ、君に恋はできなかった。それは紛れもない事実だ。
あの日の伏し目がちな瞳が、そっか、と無理に笑った顔が、段々と記憶から薄れていくことが今は恐ろしい。
あなたはいなくなってしまった。私に一生物の傷を残して。
6/27/2024, 12:20:27 AM