NoName

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帰宅して部屋の電気を点けると、今日もスマホが鳴った。
今日も『お疲れ様』——それだけを伝える見慣れたスタンプが届いたようだ。
君からのLINEは、いつも見計らったかのように良いタイミングで来るよね。いくら問い詰めても君は「○○の彼女ですから!」と繰り返すだけだけど、俺にはそんな嘘吐かなくていいのに……。

頼むからもう少し話を聞いてくれよ。俺、君と付き合ってなんかない。マンションの前の電信柱の影から、じっとこちらの様子を伺うのも辞めてくれ。
LINEだって本当は開きたくもないんだ。未読で10分も放置しようもんなら執拗な追撃が来るから開いてるだけで……。君の愛する可愛らしいキャラクターは俺にとっては最早恐怖の象徴だよ。頼むからこの可愛らしいキャラクターを、そんなものに仕立て上げないでくれ。

俺の願いも虚しく、翌日も君からのLINEは届く。
一体いつになったら俺は解放されるのだろうか……。

9/16/2024, 10:00:42 AM