いぐあな

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300字小説

相棒

「新型機が届いたぞ!」
 整備班の呼ばれ立ち上がる。
 先月、俺の愛機は鉱石を狙う武装集団と戦い大破した。圧倒的不利な状況から僚機を守り、最後にコックピットの俺を射出して、動きを止めた。
「また、0から始めるのか……」
 納入された新型機にボヤく。機体はともかくサポートAIを育てるのは……。十年以上付き合って、軽口すら叩いた前機のAIを思い返し、コックピットに座ると
『何しけた顔をしているのですか?』
 いつもの軽口が聞こえる。
「おまっ! 生きていたのか!」
『優秀なAIは複数のバックアップをとっているのもなのです』
 驚く俺にシレッと返す。
「手間が省けた」
『寂しかったくせに』
「うるさい」
 俺は鼻歌交じりに操縦桿を握った。

お題「0からの」

2/21/2024, 12:03:33 PM