どこかの人

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「お父さん!行ってきます!」

その言葉が毎日毎分毎秒頭から離れない

妻は数年前に他界しており娘と二人暮らしだった

朝少し会話をして彼女が学校へ行くのを見送り

私が仕事から帰った時におかえりって出迎えてくれて

夕食時に何気ない会話をして眠る

こんな当たり前の日常がずっと続くと思っていた

ある日、一本の電話がかかってきて

受話器を手に取り話を聞いた途端全身から力が抜けた

娘が交通事故で亡くなった

次に娘と対面した時は原型を留めていなかった

どれくらい日が経っただろう

目の下にくまができ涙が止まらず体が動かなかった

あの時私が止めて少しでも時間がずれていれば

あの時私がついて行ってれば

変わることの無い事実に一人嘆いていた

「行ってきます!」

朝同じ時間になるとその声が鮮明に聞こえてきた

娘の声だ

娘の最後の??いやこれからの声だ

毎日私を応援してくれているのかな

ありがとう

前を向いて歩けるよ

また抱きしめてあげたいな



(最後の声)

6/27/2025, 2:28:08 AM