【小さいけど大きな虹】
雨の後に空を見て虹を探すのがお約束だった。
幼稚園児の頃に、大雨の後に空を見て、虹を見つけたらラッキーっていう遊びを個人的にやってた。
...まぁ、高校になってからはそんな遊びもしなくなったけど...
でも、家の近所に住む幼稚園児の男の子が幼い頃の俺と全く一緒だったんだ。
雨上がりに家の外に出て虹を探してるんだよ。
虹が見えたら分かりやすぐはしゃいで、見えなかったら分かりやすぐ落ち込むんだ。
その姿がめっちゃ可愛かった。
だから、とっておきを見せてあげようと思った。
雨上がりの日、男の子はいつものように虹を探してたけど、見つからなかったみたい。
落ち込んで家に帰ろうとする男の子に俺は声をかけた。
手には花壇に水をやる為のシャワーがある。
頭に「?」を浮かべる男の子に水がかからないよう俺はシャワーの水を高らかに空に向けた。
綺麗な水の弧を描いたシャワーの水に、太陽の光が合わさって、男の子の背よりも大きな虹が出来た。
空の虹に比べたら、随分ちっぽけな虹だけど、男の子からしたら大きく見えたようで目を輝かせてくれた。
男の子は分かりやすくはしゃいでくれて、俺もめっちゃ嬉しかったし、楽しかった。
その日から俺は、男の子に会うたびに"虹のお兄ちゃん"なんて呼ばれるようになった。
お題「君と見た虹」完
2/23/2025, 4:04:50 AM