不整脈

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明滅する駅の蛍光灯、
その下で発した言葉は
通過列車にかき消されて
何を呟いたのか、もう覚えていない。
ただ、胸の奥が、焼けるようだった。

鼓動は、嘘をつかない。
忘れたふりをしても、痛みのリズムが裏切る。
夜の温度に溶けなかった汗が、
背中を伝い、呼吸を塞ぐ。

ホームの端、靴の先端が少しだけ浮く。
線路の向こうから、電車が向かってくる。
目を瞑る。鼓動が早まる。この体は、
まだ何かを伝えようとしていた。

手を伸ばす。だけど、触れる前に
電車が来て、鼓動が跳ねる。
後ずさる。間に合わなかった?
荒い呼吸音。瞳孔が動くのを感じる。

下を向く。
スマホに、私の顔が映る。
その中で、熱い鼓動だけが、
何も失わずに、そこにいた。

7/30/2025, 11:50:26 AM