題 スノー
雪が降ってくる。
どこか不思議な感じがするな、と私は学校の廊下を歩きながら思う。
雪国の中学の廊下。
雪が朝から降るから、除雪車が道の雪を避けてくれる。
だいぶ歩くのは楽になるけれど、長靴で登校している。
窓から外を見ると、白さが眩しく感じて、とても、明るく見える。
輝度が上がって、光の世界みたいだな、と少し思う。
それでも、空は灰色で、灰色の重たそうな物体がボトボト落ちてきているんだ。
そして、静かだ。
どうしてなんだろう。こんなに静かな世界になるのは。
雪の防音効果はすごいと思う。
遠くの音が遮断されて、ここだけ空間が切り取られたようだ。
校舎に閉じ込められたのかなとすら思わされる。
雪の白さと、静かさがどこか恐い。
異空間に不意に連れ去られてしまいそうで、それでもどこかいつもと違う雰囲気にウキウキするような気持ちも感じて。
なんともいえない不思議な気分。
雪の魔法なのかな。
なんて思う。
1粒1粒は美しい結晶で出来てるんだ。
よく考えると雪ってとても不思議だ。
そんな魔法めいた雪が降るのを眺めながら
私はしんしんしんしんと心で唱えている。
しんしんしんしん
雪ふれしんしん
しんしんしんしん
どうしてかな?
理由は無いけれど
ただ静かに降り積って欲しいんだ
しろくしろく世界を埋めつくして欲しいんだ。
12/12/2025, 11:40:12 AM