Sakura - i r o

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遠くの空へ_____



何年も歩き続けた道。

そのはずなのに。


この家、こんなところに窓あったんだ。

この街灯、変な形。


なぜこう思うのだろう。

なぜ何年もの間気づくことが出来なかった?

そっか。


歩いてる時は下しか見てなかったんだ。


って、初めて気づいた。


いつからあるかわからない地面のひび。

何年もの間に蓄積された電柱の汚れ。

掠れて見えづらくなった道路の白線。

地面を這い私を追い抜く桃色の花びら。

眩しいほどに日の光が反射するアスファルト。

暖かな色に染まり艶をもつ葉っぱたち。

乾燥した空気がふわりとなびかせた制服。


どれも俯いた自分がフラッシュバックする。

ふと、上を見た日もあった。


あー、日が延びたなー。


とか、思ったりして。

いつの間にか忘れた空の色は今でも思い出せない。

笑うのも、泣くのも、喜ぶのも、悔しがるのも、照れるのも、隠すのも、空には向けなかった。

いつか、遠くの空に反射して自分の顔が見れるかな。



< my >

4/12/2024, 12:39:17 PM