暖かな午後、昼食後の古文、窓際。
これだけ条件が揃ってしまえば、眠くなってしまうのも仕方がない。何度も閉じかける重たい瞼を、何とかしてこじ開けるのを繰り返して何度目だろうか。
この心地良さは、数年前に居なくなった彼-もとい、青波(あおば)さんを彷彿とさせる。
もう10年以上前だろうか、青波さんの家に初めて泊まった時よりにもよって悪夢を見て夜中に泣きじゃくってしまった。そんな僕を痩躯で抱き寄せて暖めてくれたあの体温も、『だいじょうぶ、ここにいるから、あんしんして』と眠たげな声も、髪を梳いた手の大きさも、今でも鮮明に覚えている。
あの時間が、とても幸せだった。
聞き慣れた音が耳をつんざき、暖かな白昼夢は終わりを告げた。
お題:『暖かな白昼夢』
-------ここからは余談です-------
前作、前々作と読み合わせていただけると、全体の雰囲気や繋がりが分かりやすいかと思います。何卒。
5/30/2024, 10:46:41 AM