『永遠に』
BL要素あります。お気をつけください。
陳腐な言葉を嫌うあなたが「永遠に愛するから、隣にいてくれないか」なんて頬を赤く染めて言うものだから、思わず笑ってしまった。
空気の揺れに気づいたあなたが頬を染めたまま唇を尖らせる。
「なんで笑うんだ」
「なんででしょうね、やけに可愛らしくて」
それだけだった。
少し震えている手も、どれほど歪めても美しい顔も、月光のような柔らかい優しさだって、全部が可愛らしくて、愛おしかった。
ぐ、と言葉をつまらせるあなたの頬に手を伸ばす。
そこに稲妻のように走る傷だって、あなたを作っていると考えたら愛おしくてしょうがない。
「あなたはそういう言葉好きじゃないと思ってました」
「たしかに好きではないが、しょうがない。お前と永遠に隣にいられるのはこの言葉しかないと思った」
今度はこちらが照れる番だった。
だって、そんな真っ直ぐな言葉。効かないわけがない。
「どんな言葉だって、あなたがくれたのなら宝物ですし、なによりもとから俺はあなたの隣で一生を過ごすつもりでしたよ」
空気が、甘やかに揺れた気がした。
あ、と思ったのも束の間、乾燥した唇にあなたのそれが重なる。
ふ、と吐かれた息が静かに唇をくすぐった。
「永遠に続けばいいのに」
「続かせるんですよ」
あなたの瞳に映る俺は、きっと俺の瞳に映るあなたみたいな顔をしているんだろう。
それだけのことがやけに恥ずかしくて、誇らしくて。誤魔化すようにその手を握って、あなたの名前を呼ぶ。
永遠に続くこの世界は、きっとあなたの隣なら美しく輝くんでしょう。
久しぶり(?)に鯉月書いてみました。
これまた珍しく明治軸ですね。
鯉登さん目線書きたいって言ってたのはどこの誰でしょう。ほんとに。
お互いにお互いが宝物で、生きる意味で、世界の美しさであってほしいです。
11/1/2024, 10:23:56 AM