「きっと忘れない」
あたたかな風が吹く
陽だまりと共にゆっくりと ゆっくりと 歩く
以前は、下を向くことが好きだった。
心配で、心配で仕方がないから。
何日もの間、何年もの間、私はここで待っている。
あなたを想い、
ふわふわとトゲトゲと薫る花を摘み取って 待っている。
「まだかな~、まだかな~?」
待っている方が気が楽なのかもしれない。
会えたとしたも、あなたは私をとっくに忘れているかもしれないと不安が頭をよぎる。
それでも、私は待ち続けるの。
「私って案外頑固者なのかもしれない。フフッ」
ここには、誰もいない。
でも、心の中は常に温かくて、ポカポカしている。
ここは最も太陽に近い場所。
あなたが見たがっていた白いワンピースを着て
ここで待っています。
きっと、私がここに来るには早すぎたの。
「何十年、何百年、何千年だってあなたをここで待ち続けると誓うわ。」
あなたに早く会いたい。
でもね、正直に言うと、
私も早く、もっと上へ上がりたいの。
ここよりも、穏やかな場所へ。
でも、大丈夫。安心して、待っているから。
今は上を向いて歩くことが好きなの。
なぜって?
あなたともうすぐ会えると、天使の声が響き渡ったから。
胸が高鳴る。すこし緊張するけど、、
ここは、なにも怯える必要のない場所。
私は摘み終えた黒のバラの花束をぎゅっと握った
「ねぇ、覚えてる?あの雨の日の夜。あなたに私が言った言葉。」
あの日のことはあまり思い出したくない。
ただ寒かったの、苦しかったの、、悲しかったの、
―あなたは誰ですか?
私はあなたの名前も声も、何も知らない。
なのに、なぜ私をここへ連れてきたの?
なぜ、、、。
でも、私はあなたの顔はちゃんと覚えています。
だから、安心してここへおいでください。
「―きっと忘れない。」
8/20/2025, 11:51:08 AM