街灯がチカチカと点滅している静な夜道。
塾が終わり、友達と一緒に帰っていた。
途中の十字路で別れ、私一人になる。
塾を出る前、お父さんから「迎えに行こうか?」とメッセージが来てたけど、友達にお父さんを見られるのは恥ずかしいから断った。
一人になって急激に心細くなり、早足で家へ向かって歩く。
……いつからだろう?
後ろから、足音が聞こえてくる。
私と同じ方向へ歩いているだけかな?
それとも……。
いや、変なことを考えるのはやめよう。
更に、歩く速度を速める。
後ろの足音も、速くなっているような……。
地面をチラっと見ると、私の影と、もう一つ影があった。
勇気を振り絞り、立ち止まって、後ろを振り向く。
「誰!?」
「おぅわ!?」
「お父さん!?」
私の後ろにいたのは、お父さんだった。
「なんでお父さんがここに?」
「いや、その……やっぱり心配だったから、塾の近くで待っていたんだ」
「メッセージで言ったでしょ?大丈夫だから来なくていいって。もう……来てたなら声かけてくれたらよかったのに」
「いやぁ~……お前の友達が居たから声をかけづらくてな。ははは」
「変なところでシャイになるんだから……」
正直、足音の正体がお父さんでよかった。
お父さんと横に並び、一緒に歩く。
心細くて怖かったってお父さんに言ったら、調子に乗りそうだから言わないでおこう。
しばらく歩いていると、違和感を感じた。
……後ろから、足音が聞こえてくる。
おかしい。お父さんは横で歩いているはずなのに。
地面には、私とお父さんの二つの影しかない。
足音をよく聞くと、ビチャ……ビチャ……まるでずぶ濡れ状態で歩いているような音だった。
しかも、少しずつ、近づいてきている。
「お父さん」
「ん?なんだ?」
「逃げよっ!」
「お、おい!?」
私はお父さんの手を引き、家まで走った。
8/18/2025, 10:20:43 PM