NoName

Open App

巡り会えたら、次は悪役令嬢とヒロインの関係で逢いましょう。
ブラウンのドレスを、優雅に翻して、私は挨拶した。
「私の名前は、エリーザ・フォーン。よろしくって? あなたの許嫁は、私です。伯爵などには渡しません」
「どど、ど、どういうこと? エリーザ、女の子となんて結婚できないよー!」
「なにをそんな、浅ましいこと。私の貴方への愛に比べれば、伯爵との結婚なんて、屁の河童ですわ。失礼、口が悪かったわ」
セリナは、慌てたように口を尖らせた。
これは、お説教モードだ。
辺境貴族とはいえ、貴族は貴族。
お上品に躾られて育ってきたのだ。怒るのも無理はあるまい。

10/3/2023, 10:16:28 AM