もも

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『日の出』

日が昇る。
水平線を真っ直ぐオレンジの光で包んでゆっくり、ゆっくり揺らぎながら上へと昇って行く。
御来光を見に行こう!って召集がかかったのは昨夜の23時。
皆彼女がいないから集まれたものの、うちのリーダーさんは相変わらずノリで生きてる気がする。
この前だって狭い俺んちに炬燵が有るからなんて理由で居座って結局泊まってまで行った。

「わーすげーっ!やっぱ今しか見れないの見とかないとなー!」
「はしゃぎすぎ。寒い。」
「日の出尊い。」
「いやー僕はわかるー!」

俺も、綺麗だなと、メンバー個々に日の出の感想を言う姿を一歩引いてみれば必ず見てるかー?って来るのはリーダーのあいつで、最近少しこいつはわざとチャラくしてるんじゃないかって思うときがある。
赤いハーフテールに派手な髪で雰囲気も派手なのに、人懐っこい顔でテンション高く近づいていつのまにか誰かの懐に入ってるこいつは自分じゃ何にも出来ないなんていうけれど、立派な才能だと思う。
俺は自分って表現を物語だけでしか表せない。
あんまり口も上手くないし、何よりいいよって言いすぎていつの間にか頼まれ事でいっぱいいっぱいになってる。
そんな俺が最近自分の書きたいように書けてるのは全部こいつが勘弁してくださいよーって、止めに入ってくれてるから。

「うん、みてる。せっかく見れたんだしどういう風に言葉に表そうかなって考えてた。」

多分他のメンバーも同じ事を考えてるんじゃないかな?
ほら、写真とったり、リズム口ずさんだり、すでに何かを描いてる
リーダー何にもしてませんよー!なんて配信中に言ってるのを聞くけど、俺たちメンバーはリーダーがいなければ何にも出来ないし、一番のファンでいてくれてるのも知ってる。

出来ればこのままずっと続けたいんだけど、自分をやたら隠したがるリーダーに大きな秘密がありそうで、言い出せない。
俺たちリーダー大好きだからな。そう伝えるには口下手だから、光に照らされた姿を物語にしよう。
俺たちだって親友だから、って伝えたい。
お前だって凄い奴なんだって伝えたい。

「ん?俺の顔なにかついてる!?」

ジーっと見すぎたのか、視線に気付かれてどぎまぎしてるのを横目に

「なんでもないよ」

とどんな話しにしたら気付くかなと考えながらだいぶ昇った朝日を見た。

1/3/2024, 11:10:22 AM