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君と出会って。君と出会って何年目だろう。
桜吹雪の吹きすさぶあの春に出会って、それから何回目の春だろう。

君は、もう何も言わない。僕は石造りの墓の側へとしゃがみこむ。
あのきらきらと輝く瞳も、風に靡く淡く柔らかな髪の毛も、くるくるとよく表情を変える顔も、何も、ない。

君はある日突然にいなくなってしまったね。何回も迎えた春を、急に冬に置き去りにして。君は少し飽きっぽいところがあったから、突然に飽きてしまったのかな。

墓の前に線香を立て、そして白いチューリップの花を置いた。君のすきだった花。花屋に並ぶ中、君のように燦然と、眩いばかりに輝いていた、白い花。

ぽたりと涙が石の床へと落ちる。とめどなく溢れる涙は、時雨のように降り注ぎ、その色を濃く変えていく。

ばか、そう小さく呟いた。

どうして僕を置いていくんだ、君のいない世界で僕はまた1人だ。他でもない君のせいで、君のおかげで。
君の笑顔のない世界に価値なんてあるものか。ぎゅっと握りしめた拳に爪が突き刺さった。

さらさら、と墓場の木々が揺れる。優しいはずのその音色が酷く鬱陶しい。僕は、ぼんやりと石に掘られた君の名前を見つめた。
流れる涙は止まることを知らなかった。




5/5/2024, 1:43:34 PM