これは夢だ。
だって、目の前であの人が笑ってる。
現実は違う。もうかなわない。
あのとき、あんな選択をしてしまったから。
自らの欲に負けてしまったから。
「ねえ、大好き」
「あのとき、声をかけてくれてありがとう」
「本当は待っていたんだって言ったら、君は信じる?」
まったく……なんて夢だ。
ぬくもりすら本当に感じるなんて。
どこかの記憶を無意識に引っ張って、与えられているものと勘違いしているだけなのに。
視界が、薄暗い天井を映した。
ひどく、気持ち悪い。
未だに、自ら身を引いた選択をぐだぐだ引きずっているなんて、反吐しか出ない。
お題:未知の交差点
10/11/2025, 10:00:21 PM