ほむら

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小さい頃に憧れて、夢見たこと。それは童話のように、可愛いお姫様になって王子様と結ばれたいとか、不思議な世界を冒険をしてみたいとか色々あったと思う。しかし、大人になるにつれて、そんな輝かしい世界もいつしか色褪せて見えてしまい、ワクワクする気持ちも薄れていった。それでも心のどこかでは、諦めずにそんな幻想を追いかけたい気持ちもあるのかもしれない。

ある日、私と彼はデートで大型のショッピングモールを歩いていた。何を買うでもなく、ただ店を眺めながら歩いていると、ふと雰囲気の違った店の前で私は足を止めた。その店では童話のお姫様や、上品なアンティークドールが着ているような、所謂ロリィタ・ファッションを売っていたのだ。

「おや、このお店が気になっているのでしたら寄っていきましょうか?」

私の様子の変化に気づいた彼が私にそう声をかけてくれた。私は首を縦に振って、その店に寄ることになった。そこには現実世界をも忘れてしまいそうなほど、私の心の奥底にあった夢見る心に訴えかけるような、少女が憧れるような幻想が広がっていた。

「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」

店員さんが声をかけてくれて、色々な服を見せてくれた。その中でも気になったのは、星空を模したようなスカートで、それを手に取ったらすぐに似合いそうな服やアクセサリーを持ってきてくれて、試着もさせてくれた。

「どうかな、似合ってますか…?」
「お客様すごくお似合いですよ!」

着替えて試着室を出ると、まず店員さんが褒めてくれた。彼にも見てもらおうと彼の姿を探すと、固まってしまった彼がいた。えっ、似合ってなかった?っと内心慌ててしまった私に対して、

「俺だけの可愛いお姫様ですねこれは…」

と、顔を赤くして照れながら彼が呟いた。それを聞いた私も照れているのか、顔が熱くなっていく感覚を覚えた。そして、私は試着したもの全てを買って、店員さんの計らいで着替えたままその後のデートをお姫様として楽しんだのだ。

テーマ「夢見る心」

4/16/2024, 11:09:27 AM