私には初恋の人がいた。
もう、小一の頃だから、曖昧だけれどもね。
でも、よく公園で遊んでたな。
確か、彼が遠くへ引っ越してしまったんだっけ。
『ねぇ、龍くん!どこへ行くの?』
『ごめんね。さくちゃん。』
『結婚するって言ったよね!龍くん!』
『うん。ねぇ、さくちゃん、俺、必ずさくちゃんのこと迎えに行くから、待ってて』
あの時は、帰って、ずっと泣いて…
なんか、懐かしいことを思い出したな。
龍くんとは、5歳差で、本当にお兄ちゃんみたいだったな。
自分の席に座る。
龍くん、私、今日で高校生になったよ。
ガラガラガラ
教室のドアが開く。
「はーい。座ってください。」
聞き覚えのある声が聞こえ、伏せていた顔をバッと上げる。
え…もしかして
「今日から1年、皆さんの担任の藤田龍介です。よろしくお願いします。」
龍…くん…?
なんで?ここにいるの?
「まぁ、一通りの説明は以上です。この後は授業とかないので、気をつけて帰ってください。」
皆各々と教室を出ていく。
それに紛れ私も教室を慌てて出る。
待って、なんで、龍くんが…?
「おーい。片倉ー?お前説明聞いてたか?」
後ろから、私の大好きな声が聞こえる。
「お待たせ。さく。」
私の目からは、沢山の涙が溢れ出た。
《待ってて》
2/13/2023, 10:31:21 AM