ふうり(小説家希望の13歳)

Open App

私には初恋の人がいた。
もう、小一の頃だから、曖昧だけれどもね。
でも、よく公園で遊んでたな。
確か、彼が遠くへ引っ越してしまったんだっけ。

『ねぇ、龍くん!どこへ行くの?』
『ごめんね。さくちゃん。』
『結婚するって言ったよね!龍くん!』
『うん。ねぇ、さくちゃん、俺、必ずさくちゃんのこと迎えに行くから、待ってて』

あの時は、帰って、ずっと泣いて…
なんか、懐かしいことを思い出したな。
龍くんとは、5歳差で、本当にお兄ちゃんみたいだったな。
自分の席に座る。
龍くん、私、今日で高校生になったよ。

ガラガラガラ

教室のドアが開く。
「はーい。座ってください。」
聞き覚えのある声が聞こえ、伏せていた顔をバッと上げる。
え…もしかして
「今日から1年、皆さんの担任の藤田龍介です。よろしくお願いします。」
龍…くん…?
なんで?ここにいるの?
「まぁ、一通りの説明は以上です。この後は授業とかないので、気をつけて帰ってください。」
皆各々と教室を出ていく。
それに紛れ私も教室を慌てて出る。
待って、なんで、龍くんが…?
「おーい。片倉ー?お前説明聞いてたか?」
後ろから、私の大好きな声が聞こえる。
「お待たせ。さく。」
私の目からは、沢山の涙が溢れ出た。

《待ってて》

2/13/2023, 10:31:21 AM