「ちょっと、そこで待っててね。」
そう言って、あの方は過ぎ去っていった。
通行人たちが、不思議な目でこっちを見ている。
そんなに、僕はおかしいのか?
雨が降ってきた。
まだ、あの方は戻ってこない。
雨で体が濡れた。寒くなってきた。
あの方は何故、僕をこの茶色い箱に入れたのだろうか?
普段、あの人を待つときは家なのに。
一人の通行人が、僕の上に傘をおいた。
「ごめんね。お兄ちゃんが犬アレルギーだから、飼えないの。」
そう言って、去っていった。
「犬アレルギー」が何か、僕には分からなかった。
きっと、あまり良いものではないのだろう。
雨がやんでききた。
でも、さっきの雨のせいか、少し体調が悪くなった。
まだ、あの方は戻ってこなかった。
夕方になった。
スーツ姿の男性が、二人来た。
僕は、よくわからない施設に連れ去られた。
それからの記憶は殆ど無い。
とにかく苦しい思いをしたのは覚えている。
そして、気づいたら此処にいた。
2/13/2023, 11:14:28 AM