エルルカ

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【お題:時を紡ぐ糸】

 時間。それは本来、誰も操ることは叶わず、干渉することは許されない、世界の摂理の一部。

 けれど世界は、たった一人にその摂理を預けた。
 世界としては仕方ないのないことなのかもしれない。
 時間だけではない、本来なら誰も触れない、様々な摂理を、世界は、人間に預けた。

 管理人とはまた別の、後に柱と呼ばれるようになるもの達。
 その柱の中の更に、新旧四対と呼ばれる者たち八人が、当初は背負っていたが、彼らだけでは支えられなくなり、ポツリ、ポツリと、摂理を背負う者達が柱として選別された。

 柱、これは刻の主人公であり、まさに世界を支えるための、人柱(じんちゅう)。
 世界は空間は、家と同じだ。ソレだけでは成り立たず、支えるための支柱が必要となる。

 時間を世話負わされていると知った時、自分の中の感情はとても複雑だった。
 この時間の能力があまりにも曖昧だったからかもしれない。
 周りの時間を少し早めたり、周りの時間を止めたり、遅めたり……。

 未来を見たり、過去に戻ったりは叶わない。結局、干渉は許されていない。
 本当に世界から『預けられている』のだ。

「はい終わり。レイン、腕は大丈夫そう?」
「あぁ、問題ない。この分ならメンテナンスもしらばらく要らないかもな」

 鉄でできた腕を動かす。
 簡易的にメンテを行った目の前の女性、ミユはちょっと困った顔をした。
 自分の腕は、彼女を庇った時に失ったものだ。その積を背負って、なんとかしようと翻弄してくれた結果が、義手である。

 時間を操れるというなら、過去に戻れたらいいのに。そうしたら、彼女にこんな顔をさせずに済むというのに。
 庇ったことに後悔はないけれど、苦い気持ちが胸を締め付ける。

 けれど、過去は変えられない。干渉は許されない。
 時間を司る自分に許されているのは、ただ、世界が定めた時を紡ぐ糸を繋げていくことのみなのだから。

ーあとがきー

リハビリじゃー!と書いている間に、お題が更新されてひぇー!となりました、はい。
今回の語り部は、レインくん!名前も何もかも初登場の子ですね。寂しさの語り部ミユちゃんのバディです。
寂しさからは、数年後の時間軸となります。
新旧四対については、語る場所があるだろうか…という感じなので、とりあえず司るものだけ載せます。
新四対ー空間、拒絶、知識、基準ー
旧四対ー破壊、創世、月、太陽ー
基本的には文字通りですが、基準はつまり世界のルール、月と太陽は日時を表します。
新と旧と付くのは、司っているのが人間なので、旧四対が亡くなり、世界が不安定になったので、新四対が出来上がりました。本来は世襲制ですが、旧四対の時は法がありませんので、適性を持った縁者がいなかったのです。
追加事項はこんな感じでしょうか。
とこで、時を紡ぐ糸って、なんでしょうね。私はぱっと七夕が思い浮かびましたが、時期じゃないしなぁ…まいっか、となったのですが。
皆様がどう解釈し、何を書いているのか、今から楽しみです!
さて、長くなりましたが今回はここまで!
では、またどこかで。
                 エルルカ

11/26/2025, 11:02:20 AM