氷室凛

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「菅原さんヘルプ! 殺しの依頼です!!」
「…………どした? 自分でやれば?」
「うっわ、最低最悪ありえない! それがか弱いJKに言う言葉ですか!?」
「よし、異論は色々あるけど大人の俺がとりあえず話を聞いてやろう」
「出たんですよ、部屋のすみっこに! やつが! この部屋呪われてますよ!!」
「……幽霊? G? ティンダロスの猟犬?」
「全部違う! うちふたつ実在しないし! てか菅原さんTRPGやるんだ! ……じゃなくて。ほら、そこ! 今もそこから逆さまになってこっちを見つめてますよ!」
「え? あー……蜘蛛じゃん。しかもあんなちっこいの。おまえ蜘蛛ダメだったんだ」
「無理、まじ無理キモい無理。早く処分してください」
「意外だわ。益虫なのに。それに蜘蛛殺したら神様ワンチャンくれなくなるかもしれないぜ〜」
「蜘蛛無理って言ったら益虫だとか言ってくる人なに考えてんすかまじ頭沸いてるありえない。こっちはそんな話してないんすよ、機能がよくてもデザインが最悪なら最悪だって話なんすよ。脚8本で目4つとかまじ無理ありえない最悪キモい他と統一しろよデザイン1から学んでこい」
「蜘蛛に対してこんなキレる人初めて見たわ」
「てか散々殺したり放火したりした極悪人が蜘蛛1匹見逃したくらいでワンチャンもらえるなら今まで大量の人間救ってきた私はハナから天国行き間違いなしじゃないっすか? 死後の世界など恐るるに足らず。ってわけでそこの蜘蛛は心置きなく潰してやりましょう」
「……待って、あいつ消えてね?」
「うっわまじ!? 最悪、見逃した……。このまま一生目の前に現れないでくれればそれはそれでいいんですけどね。サンは森で、私はタタラ場で。共に平和に生きよう」
「…………あ」
「え?」
「……闇より深い漆黒の身体。怪しく輝く4つの瞳。獲物を探すように蠢く8本の脚。そんな異形の怪物が肩に乗っているのを確認したあなたはSAN値チェックです」




出演:仲芽依沙(なか めいさ)、菅原ハヤテ(かんばら はやて)
20241208.NO.113「逆さま」「部屋の片隅」

12/9/2024, 10:05:28 AM