突然ですが、これからとある日本の伝統芸能についてお話ししたいと思います。
いつもはフザケた話をするのですが、思うところがあり今日は真面目な話をしようと思います。
さて、現代はたくさんの価値観や娯楽にあふれています。
その結果、古い伝統は見向きもされず、人知れず消えていったものも少なくありません。
しかし私は思うのです。
たしかに古い伝統は時代遅れです。
ですが、古いものを見つめなおすことで新しい発見があるのではないか?
私はそう思い、こうして筆を取りました。
これを読んで、皆様に得られるものがあれば幸いです。
さて、これからお話するのは、日本の伝統的な芸能――
『デス茶道』です。
デス茶道の起源は、戦国時代にあります。
戦国時代――それは自分以外は敵、信用することが命とりの、苛烈な時代……
『殺される前に殺す』、暴力こそがルールでした。
しかし理由なき殺人は制裁を受け、死刑にされることもあります。
そこで考えられたのが、当時流行っていた茶道を利用した暗殺です。
茶会の最中に起きた不慮の事故ならば、誰からも咎められることは無い。
それが『デス茶道』の原型になったと言われています。
お分かりの通り、デス茶道は相手を風流に殺すことに特化した暗殺術なのです。
今日は、皆様に『デス茶道』の極意を知っていただきたいと思います。
さて、デス茶道は道具が重要です。
当時は全て自作でしたが、ここは現代。
百均でもいいので、それっぽいもの買ってを全てを揃えましょう。
なぜなら相手を殺したあとは、証拠隠滅しなければいけないからです。
暗殺するためだけに高級品を買い揃えては、お財布に大ダメ―ジは必須!
暗殺に成功しても、ただではすみません。
そのため『デス茶道』では、安く道具を揃える事を推奨しています。
そして道具は金属製のものを用意してください。
殴り殺すのに最適だからです。
では『デス茶道』の大まかな流れを説明しましょう。
まず殺したい相手を招待します。
意外かもしれませんが、これが結構難しい。
なぜなら『デス茶道』の招待とバレると、相手は来ないからです。
なので怪しまれないよう、普通の『茶道』の招待であることを装って手紙を書いてください。
手紙の最後にに『これはデス茶道ではありません』の一文を付け加えることも効果的です。
そして招待に成功したとしましょう。
ノコノコやって来た相手を茶室に招き入れるわけですが、どんなに憎くともここでは何もしてはいけません。
ここで下手な行動をすると、怪しまれて帰ってしまう可能性があるからです。
よって暗殺するのは、狭い茶室に誘き入れ逃げられなくしてからにしましょう。
相手を茶室に招き入れた後、相手のためにお茶を点てます。
この時、お茶の粉末をシャカシャカしますが、ここが最初の暗殺ポイントです。
最初に金属製の道具を用意しましたね。
その金属の道具を使い、高速でシャカシャカします。
すると、金属同士が激しくぶつかり合うことで、火花が飛び散らせ周囲を眩しく照らします。
相手はその眩しさに目が眩みますから、その隙を突いて相手に殴り掛かるのです。
金属製の道具で殴られては、大抵の人間はひとたまりもありません。
しかし相手は百戦錬磨の戦国武将。
殺気を感じ取り、避けることもあります。
しかし気を落とすことはありません。
次のチャンスを狙いましょう。
え?
暗殺しようとしたのがバレたら、相手は帰るだろうって?
そこはご安心を。
相手が目が眩んだ状態での犯行なので、決定的な瞬間を目撃することが出来ないのです。
そのためおかしいとは思っても、確証が得られないので帰れないのです。
さて、気を取り直して次の段階に入りましょう。
お茶をシャカシャカした後は、そのお茶を相手に飲ませます。
ここで再び暗殺ポイントですが、この時お茶に毒を入れてはいけません
かつてお茶に毒を入れた人間がいるのですが、『喉が渇いた』と自分から毒入りのお茶をすすり、死んでしまった事例があるのです。
このことから、不幸な事件を繰り返さないため、お茶に毒を入れることを禁止されています。
ではどうするかと言うと、再び殴り掛かります。
ただ殴るのではありません。
お茶を渡す際、足がしびれたフリをして相手に殴り掛かるのです。
これはあくまでも事故に見せかけた暗殺……
タイミングを見計らい、万全を期して殴りましょう。
しかし、ここでも暗殺に失敗することがあります。
その時は『ごめん』と素直に謝りましょう。
『足がしびれて』と言えば、相手は笑って許してくれるはずです。
そうして何も気づかせないまま、相手を家路につかせるのです。
そして再び『デス茶道』に招待し、暗殺を試みるのです。
もしかすると、また失敗するかもしれません。
暗殺する上で大事なことは、諦めないこと。
諦めなけれな、いつか必ず成功します。
『デス茶道』で大事なことは、忍耐と諦めない心なのです。
ここまで聞いて、皆さんはどう思いましたか?
自分の胸から熱い鼓動が感じませんか?
もしそうなら、憎い相手を『デス茶道』に招待してください。
そうすれば、アナタは誰からも疑われることが無く、憎い相手を殺すことが出来ます。
ああ、一つ言い忘れていました。
『デス茶道』で、やってはいけないことがあります。
それは『お茶を零してはいけない』ということ。
どんなに激しい動きをしても、零すことは絶対に許されません。
お茶を零すことは、お茶に対する最大の冒涜だからです。
もし零したら切腹です。
緊張感を持ちましょう。
後は、じっちゃんの孫とメガネの小学生に気をつけてください。
それだけが不安要素です。
以上の事に注意して、『デス茶道』を行ってください。
邪魔者のいなくなったアナタの人生は、素晴らしいものになることを保証します。
伝えたいことは以上です。
私はこれから切腹するので、これにて失礼
皆様が楽しい『デス茶道』ライフを送ることを、心より願っています。
8/5/2025, 2:37:27 AM