今日の空は灰色だった。
光は薄く、影は曖昧で、建物の輪郭だけがやけにくっきりしている。
電車の中で、誰かが小さくため息をつく。車内モニターには、灰色の雲の映像とともに「低気圧による気分の落ち込みに注意」と流れている。
そうか、だから今朝、なかなか布団から出られなかったのか。昨日も、その前もだけど。
昼休み、屋上に出た。分厚い灰色の雲が、空を覆っている。
私はスマートフォンを取り出し、天気を確認する。降水確率70%。
雨は、まだ降らない。
しばらく空をながめていると、ふと、良いな。と、思った。それだけ。
雲は、ただ風に押されている。
どこか知らない場所へ。
手に小さな振動を感じて、画面を見る。
私は文字を打とうとしたのに、指はなぜか電源をオフにしてしまった。
だって、今日は曇りだから。しょうがない。
大丈夫。雨が降れば、たぶん元気になるから。
今日の私は、全てをこの物憂げな空のせいにする。
『物憂げな空』
2/26/2026, 5:55:00 AM