君は心の強い人間だね。
初めて君という存在を認知した時、そう思ったよ。
どんな人間にも、何度だって手を差し伸べる。
助けを必要としている者を決して見逃さない。
誰かを救うためには自己犠牲をも惜しまない。
誰にも真似出来ない強さが、君にはあった。
そして君は、僕にもその手を伸ばした。
現状に絶望していた僕に君は笑顔を向けたんだ。
屈託のない笑み。飾らない綺麗事。
全てが眩しくて、暖かかった。
きっと僕でなければ、泣き崩れ感謝しただろう。
君という人間を、神か仏かと錯覚したかもしれない。
僕でなければ、心が穢れている僕でなければ、
君のその強い心に憎しみなど覚えなかったはずだ。
君の眩さに目を焼かれ、君の温もりに心を抉られた。
君の善意を、悪意と憎悪で返してしまった。
それでも君は、嬉しそうに受け取ったんだ。
それがまるで光り輝く宝石のように。
大事に大事に、何よりも大切だと言わんばかりに。
君は、たとえ嵐が来ようとも、
逃げも隠れもせずに立ち向かうのだろう。
その暴風雨を一身に受け止めるのだろう。
誰も傷付かないよう、自らを犠牲にして。
慈愛の笑みを、自然の脅威に向けながら。
そんな姿を見た全ての者は救われるのだ。
ただ一人、君から目を背けた僕を除いて。
7/29/2024, 6:06:14 PM