《今回はホラーです》
一人暮らしのアパートの布団の上、日の出とともに目が覚める。
最悪の目覚めだ。
俺は人を殺してしまったかもしれない・・・
布団の中で深夜の出来事を思い出す。
◾️◾️◾️
終電を降り、帰り道を急ぐ。
今日も残業を押し付けられこんな時間だ。
ああ、イライラする、、
そのとき前から女が1人で歩いてきた。
女は酔っているのかふらふらとした足取りだ。
160cmないくらいの細身の女、年齢は30代くらいか。
俺はいつもやってるのと同じように、わざとよろけたふりをして女にぶつかった。
ぶつかった瞬間「痛っ」という女の声が聞こえた。
女はヒールを履いていたため踏ん張れなかったのか後ろに勢いよく倒れた。
ゴッとにぶい音がする。
歩道にじわじわと広がる血、白目を向いた女の顔、、
季節は1月なのに脂汗が浮く。
ヤバいと思い、俺は走り出していた、息を切らせながらアパートに戻り俺は先ほどの出来事を忘れるように冷蔵庫のビールを飲み、風呂も入らず寝てしまった。
そして今に至る。
落ち着かないが、どうしたらいいか分からない。
人目はなかったはず、、
テレビを付けたが、それらしいニュースは流れてこなかった。
今日はまだ平日、会社なんて行ってる場合じゃなかったが、休むと疑われるかもしれないのでいつも通り出勤した。
朝からソワソワ落ち着かなかったがその日は何事もなく終わって帰宅した。
翌日も何もなく、1週間経つ頃には俺はすでに捕まるかも、というような恐怖はなくなっていた。
出血はしていたが見た目だけで大したことなく、自力で家に帰ったんだろうと自分の中で結論づけた。
そして2週間が経った、今日は残業で終電帰り、あの日以来だ。
人通りも少ないし、出来ればあの道は通りたくなかったが、あそこを通らないとえらく遠回りになってしまう。
仕事でクタクタだったし早く家に帰ってゆっくりしたかった。
あの出来事があった歩道を歩いている時、後ろから声が聞こえた。
「やっと見つけた・・・」
バッと勢いよく振り返る。
そこには頭に包帯を巻いた、あの時の服装のままの女がいた。
恐怖に顔をゆがめ、後ずさる。
女が距離を詰めるようにこちらに歩を進める。
『ひぃっ、く、来るな』
俺は女に背を向け逃げようと走った。
と同時にドカンという強い衝撃が俺を襲った。
歩道の先にある横断歩道を走る俺を、横から来た車がはねたのだ。
(痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!)
痛くて指先1つも動かせない、、
痛さを堪える俺を横目に、俺をひいた車はそのまま走り去った、、
俺は血で開けづらい目を開け、女の方を見た。
『・・・た、助けてっ』
女は俺を見てニヤリと笑い、そのまま背を向け遠ざかっていった。
1/3/2025, 12:54:10 PM