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毎日、“いつも通り”の朝を迎えいる。支度に長い時間がかかるというのに、学習しない私は、電車が来る30分前に起き、毎日立ち漕ぎで駅まで向かう。よく、同じ朝なんて無い、なんて言うけれど、私にとってはほとんど一緒だ。いつもと違う朝といえば、いつもと違う道を通り、出会った人に挨拶をする。その挨拶の声が裏返った時、恥ずかしくて、1人悶えている朝もあるけれど。

でも、そのいつも通りの朝の中でも、好きな朝がある。一度だけ、朝の始発に乗った時、“いつも通りじゃない”朝を迎えた。太陽は照っていたが、人がほとんどいないシャッター街。電車の音がかすかに聞こえ、家の前からは朝の情報番組の音。どこからか聞こえる、元気なラジオ体操。あの街だからこそある澄んだ空気に、心が浄化され、雑念が消え、あの透明な空色よりも自分が綺麗に慣れた気がした。あの時間が私は世界で一番好きかも知れない。マスクを外し、好きな歌を小声で口ずさみ、学校に着く。誰もいない教室。部活の支度をして、部室まで小走り。遠くまで響かせる思いで吹いたトランペットは気持ちが良かった。あの日は私の中で青春の一ページ。

私は毎日、“いつも通り”の朝を迎える。けれど、なんら変哲の無い朝も、私にとって大事な思い出の一部で、多分、なくてはならないもの。“いつも通り”の朝を幾つになっても迎えていきたいと、心から願う。

7/10/2023, 3:39:39 PM