代理(特に何も無い学生)

Open App

「出来るだけ気にしないように。」
その言葉がゴチャゴチャになってしまった私を護衛する言葉となっていた。
それからと言うもの、隣人さんとは上手く関係を築く事が出来ていった。
「おはようございます。」
「…おはようございます。鳥井さん。そう言えば、掃除の回覧板が田中さんで止まっているって聞いたんですけど…」
「あぁ、それはちゃんと俺のところに回ってきて、今は山田さんのところまで行ってるので大丈夫ですよ。」
今では挨拶だけでなく、軽い雑談や世間話までする。
帰りとかは会う機会は全く無いけど、朝とか休日とかはよく会うようになった。
そして、今日は彼氏を家に呼ぶことになった。
遠距離中の彼氏だったから、私はウキウキ気分でいた。
「…ん、榊さん何だか嬉しそうですね。何かあるんですか?」
ごみ収集の日だったから、私がゴミ捨て場に居ると、後から隣人さんが来た。
その時に私の表情を見た隣人さんに察されてしまった。
「よく気が付きましたね…!そうなんです、今日は遠距離中だった彼氏が家に来るんです。つい、楽しみになってしまって…」
私が隣人さんにそう言うと、隣人さんは優しく微笑んでくれた。
「そうなんですか、それは羨ましいです。楽しんできてくださいね。」
「ありがとうございます…!」
私は彼氏と会う前にそう言われたことで、より一層、気分が良くなった。

8/3/2024, 10:59:11 AM