君からのLINE
(いつ来るの?)
既読はつかない。電話も出ない。腹は減った。
カレーはとっくに出来上がり、キッチンでスパイシーないい匂いをさせているのに、22時半を過ぎても連絡がない。
焦れた俺は冷蔵庫から缶チューハイを取り出した。二人で飲むつもりだったけど構うもんか。そしてプルタブを引き、唇を付けようとした瞬間に通知が鳴って、慌ててスマホを手に取った。
(車で迎えに来て 。〇〇駅あと20分で着く)
「そりゃないだろ、……せめて電話しろよ」
俺は犬かよ。そんなLINE一本でしっぽ振って迎えに行くと思ってんの。
……思ってんだろうな、やっぱり。
むかっ腹が立って、すぐに返事をしなかったら、通知音が連続で鳴った。トーク画面には大きなハートを抱えた猫のスタンプが、ずらっと連打されている。
「何だよ、もう」
口元が緩むのがわかった。きっと締まらない顔をしてるんだろうな。急いで缶チューハイにラップをして冷蔵庫に片付ける。
「仕方ない。行ってやるか」
俺の気分を指先一つで変えてしまう、そんな君からのLINE。
#28
9/15/2023, 1:22:18 PM