no.12:手紙の行方サトルのノートを一枚だけ切り離す。先の鋭い鉛筆で星を描いたページ。あたしは、サトルに何も伝えられない。今日こそは言わなきゃと思っても、土壇場で怖気付いて、ぶっきらぼうにコーヒーを催促してしまう。「無理して飲まなくてもいいのに」サトルは苦笑いでカップを2つ用意して、薬缶を火にかける。サトルに呆れられても、無理したいんだ。自分を甘やかさずに、胸の中のことをすべて書き尽くしたい。宛名は死んでも書かないけど。
2/18/2025, 11:03:17 PM