「ルールを守って生活しましょう。」
生まれたときからある、呪縛のような言葉。ルールは時に身を守り、時に個性を殺す。そういう風に思って生きてきた。
ルールを破ることは、自分に罪悪感を齎した。「あ、今いけないことをしている。」「見つかったらどうしよう。」そんな風に心のなかで自分の良心と格闘する。
駄目だと分かっていながらも、僕は足を止めること無く入っていった。
手に冷たい水が付き、待っている間も誰かに言われるのではないかと、ドキドキした。前列の人に言っても仕方がないことだが、「早く早く」と呪文のように繰り返した。
自分の番になり、僕を悪の道へと連れ出す物が、電子音を鳴らした。もう、後戻りはできない。僕は、すかさず握りしめていた価値を渡して、外に出た。
「つ、ついにやっちゃった…。」
証拠隠滅のために、それを口に運ぶ。その瞬間に罪悪感なんて消えていった。僕が破ったルール。
【学校のルール!】
『1、帰り道に寄り道してはいけません!』
頭の中で一度、ルールを復唱したが、僕が心から思ったことによって消え去っていった。
「アイスうっま。」
No.1 _ルール_
4/24/2024, 1:06:31 PM