【20歳】
休日に買い物に出ようと、俺は昼間に街に出た。用を済ませ街中を歩いていると、華やかな衣装を身にまとった若い男女の集団とすれ違う。
そういや今日は成人の日か。祝日なんて仕事が休みだ、ラッキーくらいにしか思わないから今日は何の日か知りもしなかった。
俺は当時の自分の成人式を振り返る。
中学の頃、好きだった女の子がいた。だが当時は人目を気にして告白することが出来ず、そのまま卒業した。高校に入ってからお互い別々の高校に通い出した。
時が経ち成人の日、彼女にまだ相手がいなかったら告白しようと心に決めた。会場では浮かれた連中が馬鹿騒ぎしているが、俺にとってはそれどころではない。
その日、俺は撃沈した。彼女に相手はいなかったが、見事に俺の告白は断られた。
振られたものは仕方ない。むしろずっと彼女を思い続けた俺を褒めてやりたいくらいさ。
その後、振られた俺は浮かれた連中と一緒になって馬鹿騒ぎした。…後で警察沙汰にまで発展してしまったが。
すれ違う彼らを見て当時の苦い記憶を思い出してしまった俺は、かき消すようにかぶりを振って帰路を急いだ。
1/10/2024, 12:08:48 PM