題 不条理
世の中に不条理って沢山あると思う。
筋道が通らないこと。
例えばこの体育のテストがそうだ。
私はスポーツ選手になりたいわけでもないのに、反則技を覚えて何か特な事があるんだろうか?
根っからの文系の私は、平均点80点を叩き出す体育のテストでいつも平均以下。
どうしてどうしてって思う。
バスケやバレーやサッカーやってる人からすれば何人でするゲームなのか、違反のガイドラインも分かるだろう。
でも私にはわからない。
興味がないから、何度教科書を読んでもすり抜けてしまう。
そういうわけで、私は不条理にも体育のテストはいつも平均以下というわけだ。
「えー?平均以下なの?ルールなんめ普通に覚えない?」
私のテストを覗き見た後ろの天パのユナはそう言った。
「覚えない。少なくともここに一人覚えてない人がいますが」
「だって、テレビで中継したり、先輩が試合行くとき応援行ったりして自然に覚えない?あ、オリンピックとかでも家族で見るじゃん!」
「テレビでも見ないし、応援は行ったことないし、オリンピックもうちは家族興味ない」
「へー、つまらなそーな人生だね」
失礼な!!
私はユナに心のなかで悪態をつく。
別にスポーツのルールが分からなくてもちゃんとこっちはここまで育ってきてるのよ!
不条理だ、不条理だ・・・と思う。
でもなぁ。
ふぅ、とため息をつく。
内申を取るには、頑張って興味なくても覚えなきゃいけないのかぁ。
「石井」
私が落ち込みながら歩いていると、後ろから声をかけられる。
ゲーム仲間の片山だ。
きっと、片山もテストの点数悪かったんだろうな、と思って聞いてみる。
「片山、体育のテスト何点だった?」
「100点だけど」
「えっ!!!」
私は衝撃のあまり言葉を失った。
「あ、そう、今話聞いててさ、スポーツのルール知らないの?」
片山に聞かれて、私は頷く。
なぜ、ゲーム中毒といえるほどの片山が百点を・・・。
「今度僕のオススメのスポーツゲーム貸すよ。ゲームの内容がリアルでルールとかも覚えられるんだ」
「えっ!そんな方法が!!」
目からウロコ・・・。確かに、ゲームは好きだけど、スポーツのは興味なかった。でも、ゲームなら楽しんで覚えられそうだ!
「貸して貸して!!」
私が勢いよく言うと、片山は頷いた。
「任せて!きっと体育の点数アップ間違いなし!」
そっかぁ、そんな方法が・・・。
世の中不条理ばかりじゃないのかもしれない・・・。
片山の話を聞いて、私の心の中は、げんきんにもさっきとは180度意見を変更したのだった。
3/19/2024, 8:10:30 AM