僕は布団の端っこから顔だけを覗かせる。つけっぱなしのテレビから聞こえる落ち着いた声音。明日は雲ひとつない晴れでしょう、と明日の予報を伝えていた。
僕はむくりと起き上がり、無造作に机に積まれていたカップ麺をとった。3分のタイマーをセットし、再びベッドへと舞い戻った。
明日はどうやら晴れるらしい。一昨日は晴れで、今日はざんざん降りだったというのに、まぁよくもころころと変わるものだ。
天気と言えば、今日の心模様は散々だった。大方、曇りのち雷のち雨、といったところだろうか?
朝起きた瞬間の爽快さは訪れず、ただどんよりと行き場のない気持ちを持て余しながらカーテンを開けた。
せっかくの休日だったというのにベッドから動くこともできずただ菓子パンだけを口に詰め込んだ。
そうして何もできないままに過ぎていく時計を眺めていると、ふと、湧き上がるような恐怖に身がすくんだ。
最近の出来事がまざまざと蘇り、まるで今この場で起きているかのような映像を伴った。そこには何もいないと分かっているのに、響く笑い声は僕を責め、は、は、と上がる息を押さえるのがやっと。どくどくと脈打つ心臓は口から飛び出しそうなほどで、僕は胸のあたりの布をきゅ、と握る。
縋る思いでシートに包まれた小さな錠剤を水とともに流し込み、布団を頭まで被ると今度は止まない雨のような、しとしとと降り続ける悲しみに包まれる。
いつしか海になりそうな涙から逃げるように目をつむったのが覚えている限りの記憶だ。
次に意識が浮上した時には、とうに日は暮れて時計の針は上と下を真っ直ぐに指していたのだった。
今日はあまり良い1日ではなかった。僕は出来上がったカップラーメンを啜り、机に置いたスマホを見た。
そろそろ国民的アニメが始まる頃合いだ。
テレビのチャンネルを変えると、見慣れたおかっぱ頭の女の子が画面に映る。ぼんやりと画面を見つめていると、懐かしさで胸がいっぱいになった。
番組が終わると、僕はテレビを切り窓から外を見上げた。きらりと光る星が綺麗だ。明日は晴れるらしい。僕の心も晴れてくれるだろうか?
僕は錠剤のシートが入ったポケットを、そっと上から握る。明日は心もいい天気でありますように。
4/23/2024, 2:03:39 PM