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夏が終わる。
冷たいような、暖かいような風が僕の頬を撫でる。
その風に葉がゆられ、帳のように僕を包み込んで、散っていく。

美しいと言えば美しいような、けど寂しいと言えば寂しいような。


僕は黙って、ただ並木道を歩く。


道端には紅葉が積もっていた。僕はその山から一枚手に取って、それとなく眺める。まるで吸い込まれてしまいそうな艶のある紅色に、恍惚する。


ふと、髪が揺れた。僕の手から紅葉が滑り落ちる。風に拐われ、生き物のように僕の横を通りすぎる。

追いかけることはしなかった。ただ、ぼんやりとそれを眺めていた。


前を向いて、また僕は歩き出す。


紅に染まる木々の間から、光が差し込んでいる。
木漏れ日が頬を照らす。紅るさも相まって、目眩がする。


このまま倒れられるのならば、どんなに幸せだろうか?


そう思いつつも、僕はただ、歩き続ける。


道脇のベンチに目が止まった。誰もいないベンチに、僕は腰掛ける。

木に百舌がとまっているのが見えた。キチキチ という鳴き声が僕の耳を通り抜け、頭の中で反響する。まるで話しかけられているかのようだ。

ふと、足元をみる。ベンチの下にはどんぐりが落ちていた。綺麗なもの、誰かに踏み潰されてしまったもの、虫にかじられて穴が空いてしまったもの。


僕はその一つを拾い上げ、ポケットにしまった。


満足したかのように足が勝手に動いて、僕は再び歩き出した。


秋風が頬を撫でる。紅葉が僕を包み込む。

夏が終わる。





『秋色』


































9/19/2025, 7:31:05 PM