かなしあそばせ

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夜の海は静かだ
さざ波だけが響いて 辺りは深く眠っている
白いワンピースとサンダルだけで砂浜を1人歩く
1日のうちの邪念も憎しみも何もかも海に流す
ザパーン

カラン

何だろう 音のした方へ足を運ぶ
「これは……」
よくドラマとかにある瓶と手紙 だ
コルクをポンッと取って手紙を見てみた
「……この手紙を受け取ってくれた人へ
あなたにささやかなプレゼントを贈ります」
プレゼントって何だろう
そもそも私が手紙を受け取ったこと
なんて分からないだろうに
カラン
「何か……入ってる?」
貝殻だ
それは純白の貝殻で
見とれてしまうほど綺麗だった
…………………。
キラッ
「ん眩し、」
灯台の灯りが何かに反射したのだろうか

「わっ……」
赤く透き通る石を見つけた。
少し考えて……

さっきの手紙と一緒に瓶の中にいれた。

「また誰かの手に渡るといいな」

ザパーン
流した瓶が海に呑まれていく

静かな夜の海のどこか、誰かの手に渡る。

8/15/2024, 11:21:57 AM