たぬたぬちゃがま

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ふと目を覚ましたら、何も身につけていない状態の彼女とベッドを共にしていた。

「えっ!はっ?えぇ??」
慌てて自分の下半身を確認する。下着はしていた。汚れていない。じゃあなぜ彼女は何も着ていないんだ。覚えていないだけでなにかあったのか。
こめかみをおさえて必死に昨晩のことを思い出す。
宅飲みをして、2人でしこたま飲んで、限界点に達した彼女が布団に潜り込んだからついていって……いやなんでだよ。なんでついていってんだよ。その後の記憶がどうしたってない。致したのか、致してないのか、それすらわからない。
「ん……。」
そうこうしている間に彼女が起きた。のっそりと起きるものだから口から心臓が出るくらい驚いた。
ぼんやりとした目でこちらをじーっと見ている。
「あの……おは、よう。」
「……寒い。服欲しい。」
焦点の合わない目で言われたものだから、おずおずと衣装ケースからTシャツを取り出して渡す。のそのそとゆっくりとした動きでそれを着ると、また夢の中へと旅立っていった。
明らかに彼女にあっていない服。襟ぐりから覗く鎖骨、ぶかぶかでお尻までギリギリカバーしている。なにも着てないよりそそる。なによりそれは自分の私服なのだ。
「……まずい、風呂入ってこよ。」
ひとまず落ち着かせるために風呂に入り、現実逃避することにした。
冷たいシャワーを浴びるが、彼女の自分のTシャツを着ている姿がぐるぐると頭から離れない。
しばらく頭を冷やし続け、やっと落ち着いたと脱衣所に出た瞬間、変な悲鳴が寝室からしたのが聞こえた。


【半袖】

7/26/2025, 6:51:28 AM