ほむら

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「あなたって、天国と地獄があると思う?」

大した意味はないが、ふと気になって彼に聞いてみた。すると彼はキョトンとしながらも、すぐに答えてくれた。

「俺は信じていますよ。どちらかと言えば天国があることを信じていますけど」

普段理知的な彼からは思いつかないほど、意外な答えだった。てっきり信じていないかと思っていたから、私はすぐにその後の言葉が出てこなかった。

「俺は貴方と共に過ごして、天寿を全うして共に天国に行きたいと思っています」

何も言えずにいると、彼は続けてこう話した。私は申し訳ない気持ちになりながらも、自分の考えを打ち明けた。

「私は…死後の世界は何も無いと思ってる。だから…生きているうちにあなたとたくさん思い出を作りたい」

少し悲しい気持ちになりながら私がそう言うと、彼はそれを否定することは無かった。それどころか、私を安心させるようにギュッと抱きしめてくれた。

「そうですね。先のことを考えるより、今を楽しみましょう。信じるものは人それぞれですから、自分の考えを信じればいいと思いますよ」
「ありがとう」

こんなに優しい彼が傍に居てくれるのだから、私も少しだけ、天国というものを信じてみようと思った。

テーマ「天国と地獄」

5/27/2024, 11:02:06 AM