hot eyes

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「......ふんっ...!」
背伸びをして見るが、指先が触れるだけで掴めない。今日はお互いに仕事だったため、レトルト食品で済まそうという話になったのだ。
「...っ...あと、ちょっと...!」
玲人(れいと)はぷるぷると腕を伸ばし、棚の上に置いたレトルトカレーに手を伸ばす。

その時背中から少し圧迫感がして、ひょいっとカレーが宙に浮いてトン、と横に置かれる。

「はい」
どーぞ、と顔を覗き込んできたのは葉瀬(ようせ)だった。
「............」
「あれ、これだったよね?もしかして間違えた?」
「...合ってる。ありがとう」
玲人は顔をしかめる。
そう玲人は彼女である葉瀬よりも背が低いのだ。決して彼の身長が低いわけではない。ただ葉瀬の身長が平均よりも高いだけだ。

「......ぐ」

玲人は悔しそうに拳を握る。葉瀬は気にもせず、届かないなら私に言ってね、と追撃を食らわした。
(...悔しい、けど)
玲人は先程の背中からの圧迫感を思い出す。

(............いやダメでしょ!)

少しだけ、ああやって後ろから来られても悪くないと少し考えてしまった自分の頭を軽くごつ、と殴った。


お題 「届かない......」
出演 玲人 葉瀬

5/9/2025, 3:42:48 AM