ススキ
ぴょんぴょんと 白兎が、薄野原を
駆けていく
セピア色の空に 黄金色の薄野原は
よく映えていた。
白兎が、もう一匹の体が大きな兎に
話し掛ける。
「ねぇ ねぇ 父ちゃん お月様には、
人間が、居るって 本当?」
すると、父親兎は、小首を傾げて
「それは、正確には、人間が居るんじゃ無くて 月の影が 人間の形に見えるだけだよ!」
子兎は、赤味がかって来た空を見上げる
そして、「ふ~ん」と 口の中で呟く
今夜は、満月 満月の日には、
月の中に 人間の姿が、見えるという
子兎は、人間の姿を他の 下界に降りた
兎達から聞いていたが、自分自身で
関わった事は、一度も無い。
しかも人間には、兎達の言葉は、
分からないという
そんな 意思疎通が、出来ない 生き物に
近づくのは、子兎は、怖くて 怖くてたまらず 人間には、興味はあるが
会いに行く勇気は、無かった。
しかし 人間に 会いに行った
兎達は、頻りに 言うのだ
「人間は、愚かで 浅ましいし 残酷だ
一方で 優しく 儚げで 脆い」
その話を聞いた子兎は、首を傾げるばかり
だった。
人間は、やっぱり 怖いの?
それとも優しいの?
子兎は、疑問符を 浮かべるばかりだった。
だから、子兎は、月を見上げる。
まだ 見ぬ 人間に 想いを馳せて.....
11/11/2023, 5:57:08 AM