10年後の私から届いた手紙には文字が書かれていなかった。
では何故10年後の私からだも分かったのかと言うと、中に一枚の写真が入っていたからだ。
日付は丁度今日から10年後。
あと、便箋の絵柄が私好みだったから。
写真には、近くの公園で見た事ない女性と肩を組んでいる私が写っていた。
きっとこの場所に行って出会え、と言う事なのだろう。
公園には写真の女性を少し幼くした様な少女がいた。
私たちは意気投合して親友になった。
5年後、また私から手紙が届いた。
中にはやはり写真一枚だけ。例の公園で知らない男性と手を繋いで写っている。
公園には写真の男性を少し若くした様な人がいた。
私と彼は意気投合して付き合い、3年後に結婚した。
全部未来の私からのプレゼントだった。
さらに2年後、私も過去の私に手紙を出さないとな、と考えて思い出の写真を漁っていると、親友と夫が温泉旅館で腕を組んでいる写真が見つかった。
「え?」
真っ白になる頭で必死に考えて3枚の写真をそれぞれ便箋に入れて家を出る。
親友の家に向かう途中、ポケットから適当に取り出した2枚の便箋を何気なしにポストに入れた。どの写真が入っているのかはわからない。
何でそうしたのかもわからない。
親友の家について中に入ると、写真の事を問い詰めた。
最初は誤魔化していた彼女も、徐々に本性を表し始めた。
ずっと好きだったらしかった。夫のことが。不倫関係になったのは半年前から。
私と彼女は言い争いになった。お互いにヒートアップして、私が掴み掛かろうとした時、彼女が私を突き飛ばした。
頭が痛い。なんか、ゆかがぬれてる。え、ちがでてない?あの子はだいじょうぶ?
あれ?これ、わたしのち?
あぁ。憎い憎い憎い。アイツらのせいで。お願い過去の私、写真を見たら公園に行かないで。悪魔共と出会わないで。私の幸せをちゃんと…掴み…とっ…て。
2/15/2024, 11:44:59 AM