「はぁはぁ…」と私は息を切らせながら必死に後ろから走っている馬車から逃げる。
私は生まれて間もない頃、村の口減しとして奴隷商に売られた。まだ良識のある奴隷商だったら良かったが運悪く私が売られた先の奴隷商はいわゆる違法な奴隷商だった。当然、法律なんて気にされないので劣悪な環境での生活を強いられた。また、奴隷の価値を上げるために私たちはよく訓練をさせられる。
今のこの状況もその一環である。
監督者が馬車で後ろから奴隷たちを追い、奴隷たちがサボったら鞭で百回叩かれる。
ノルマの三キロダッシュが終わり、私たちはどっと倒れ込む.
しかしそんなのも気にせずに監督官は「ほら、帰るぞたて!」と容赦なく放ってくる。
もう耐えられなかった。
主従関係ではなく、これは一方的な隷属だ。
必ず本人の意思関係なく主人の命令を遂行しなくてはならない.
ーーーーーーーーソレガドウシタ?ーーーーーーーー
パキンッと何かが壊れた音がした。
親が一応餞別としてくれた錆びた鉄剣を取り出す。
監督官はその異様な視線に気がついたそうで、下卑た笑みを浮かべながらこちらは整備の行き届いた刃渡りの長い片手剣を取り出す。
武芸の差は歴然だった。
素人が経験者に勝てるわけがない。
そんな常識なんて関係ない。
今私ができる事をやるだけ。
監督官が剣を振り上げ上段に構えた。
私も剣を横に構え、そして相手の懐に飛び込んだ.
監督官は私に嘲笑の笑みを浮かべながら剣を振り下ろす。
私は剣でそれを少し逸らし致命傷を避ける。
ドバッと肩から血が大量に流れ出す。
だがそんな事を気にせず私は攻撃を続ける。
流石の監督官も今度は焦ったように後ろに飛び去り攻撃を交わす。
今度は私は剣を真ん中に構えながら突進し監督官を突いた。監督官は剣の腹で弾く。そのまま刃を返し私を斬りつける。
「ガフッ」と口が血が流れ出す。
そして私は倒れ込む。それを見ると監督官は安心したように、私から目を離す。
その瞬間、私は流れる血など気にせず一瞬で監督官の後ろに回り込み斬りつけた。
そのまま乱雑に斬りつけると監督官は動かなくなった。
その後私も後を追うように倒れる。
血を失いすぎて、私が死ぬのは一目瞭然だった。それでも恐怖ではなく清々しさが胸に残った。
少しは決められた運命に抗えたか。そう思えた。
こうして1人の少年の儚き命が世界から去った。
お題最初から決められていた
ここまで読んで頂きありがとうございます。
8/7/2024, 10:21:31 PM