高校生の戯言

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お盆
亡くなった人間が家に帰ってくる。

僕の友達の颯が亡くなったのは3年前の夏だった。
中学2年生だった
「僕らは来年は受験の天王山 1年遊べないから今年の夏は思いっきり遊ぼう」という理由でほぼ毎日一緒に過ごした。

颯は楽しそうに笑っていた。

僕らが住んでいるところは自然が多く山と海どちも近かったのもあり自転車に乗って山と海を一日交代で堪能していた。

そんなことをしているからこんな事になってしまったと後悔している。



だんだん遊ぶことが無くなり家に帰ろうとしていると、颯が「肝試ししよ」と誘ってきた。僕はてっきり怖い話でもするのかと思っていたが、彼は「海へ行こう」と言う。

今日は風が強い。
海もいつもより荒れている。

堤防から見下ろす海は深い青色だった。

「ここから飛び降りるんだ」



耳を疑った。

「今日はやめとこうよ危ないぞこれ。」
僕が不安げに言うと

「今日暑いし、このぐらいの波ならここ浅瀬だし大丈夫。」といたずらに笑ったが、目の奥の光が消えていた。

今考えれば、彼は壊れてしまっていたのかもしれない。


僕はロープを体と柵に巻き付けてから海に入るのなら、、と誘いを受けた。


いつもこういう時は颯がジャンケンを挑んでくるのに、今回は違う。

「俺が先に行くから」

笑顔で飛んで行った。





そこから颯は帰ってこなかった。




体に巻き付けたロープを自ら解き
深い所まで沈んで行った。


なんで自ら 死ぬようなことをしたんだ、
しかも僕の目の前で。




そして今年のお盆


僕は寝ていた。

風鈴の優しく涼しい音色が広がり、それに合わせようともせずに鳴き続ける蝉。そよ風設定にした扇風機が春のような涼しく暖かい温度に部屋を演出して季節を錯覚させる。


鈴の音。


僕の周りを回っている。

気になる。

段々と意識が戻ってきて目を開く


そこに居たのは黒猫。
大きな鈴を首輪に付けている。
黒猫の所在が分かることは書いていなかった。


ここは自然が多く動物が道を歩いているのは普通だったし、家の中に入ってきちゃうことも少なくはない。

「どこから入ってきちゃったんだ?」
僕は答えるはずが無い黒猫に優しく問いかけ抱っこをした。








「えっ、玄関開いてたよ。」










懐かしい颯の聲だった。






録音かなんかだと思ったが、間違えなく黒猫から出ている声だった。


颯は猫になって帰ってきた。



??


意味がわからなかった。
コドモじみたファンタジー

「お盆中にやらないといけないことがあるんだ。手伝ってくれないか?」


夏バテで頭がバカになったんだと、もう一度寝ようとする僕に飛びかかり。無理やり現実を見せられた。




「早く!自転車まだあるよな?」と軽い体で飛ぶように走る猫。

まだ眠たい目を擦りながら曖昧に返事をする。

玄関を出ると黒猫は自転車のカゴに乗りドヤ顔で
「自転車に乗って行くぞ!」と言う。



自転車に乗って気がついたが、僕 颯(?)に足にされてないか?


8/15/2023, 11:39:07 AM