忘れられない、いつまでも。彼女が元の場所へ帰ってしまってから、この想いに気づいて。弟達を羨みながら過ごす私は、いつの間にか簪を手に取っていた。桃色の花の簪。あの長く艶やかな黒髪によく似合うだろう。どこにいるのかも知らないのに、知ることができた気持ちを忘れたくなくて。いや、忘れられなくて。ひとり簪に目を落としながら、彼女を想う。絶対にまた会わせるからと主が言った、いつかの日を待ちながら。
5/10/2026, 3:24:32 AM