声が枯れるまで
私が声が枯れるまで叫ぶのはたいてい夢の中。
そしていつも必死に母を呼んでいる。
だけどなかなか声にならなくて胸が苦しい。
そしてハッと部屋の白い天井が見える。
台所から「とんとん」とリズムの良い音がする。
あぁ。戻ってこれた。
胸を撫で下ろすと、私はいつものようにリビングのドアを開けて言う。
「今日の夕飯何?」
せっかちな母は短く「色々」と言う。
幼い頃から変わらない応えに思わず口元が緩んだ。
ずっと幸せでいられますように。
戻らないあなたに声を枯らして泣く日がまだまだ先でありますように。
10/21/2024, 1:14:43 PM