能力者になりたい佐々木海星(偽名)

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【好きな色】
 僕は生まれつき視界の中に見える景色が白黒だった。この症状は「色覚異常」って言うらしい。僕はこの障害を持って高校に通っていた。
海星「国語だる~。こんなん母国語じゃない。」
小さな声で隣の友達に話しかけていた。
花奏「あ?何いってんだ。お前がバカなだけだろ。理解しろ、理解。」
花奏は昔からの幼馴染。美女美人、成績優秀で賢く合理的な人物だ。もちろん。僕がこの障害を抱えて学校に来ていることも知っている。「カタカタカタ」。みんながノートやプリントに書き写す音が響く。だいたい授業はこんな感じ。先生が黒板に書いたことを写す。その単純な作業を何回も何回も繰り返しノートやプリントにまとめる。だんだんと眠くなったので僕は机にうつ伏せた。
海星「Where is here。」
ドレミー「やぁやぁ、いらっしゃ〜い。君はどんな夢を見たいかい?」
海星「へぇ。」
夢の中、だよな?夢で自由に行動できるっけ?いや、こんなの初めてだ。
海星「じゃぁ、1回だけでいいので、色を見してください。」
ドレミー「ほう。わかったぞ!では、良い夢を。」
そう言って消えていった。いったいなんだったんだろう。
海星「うあー」
地が揺れた。世界が崩壊している。僕はまた、気を失った。
花奏「起きろ。」
海星「?????????????」
花奏「はーやっとおきた。」
海星「もうちょい寝かせて…。」
花奏「だめに決まってんだろ。こっから残り2時間、授業が残ってんだからな。」
海星「今何時っすか?」
花奏「一時でーす。昼飯食べに行くぞ。」
僕は無理やり花奏の手に掴まれ、引きずられる形で食堂へと向かった。
 僕らは食堂に着き、それぞれ注文を行って食事を机まで持っていった。
花奏「たくー、お前起きるの遅すぎ。」
海星「しょうがないよ。先生の呪文で眠らされたんだから。」
花奏「授業は睡眠呪文じゃねぇよ。ちゃんと勉強しろ。」
海星「勉強は社会人になっても必要にはならない。得た知識で活用するのは、家庭科と保健と数学ぐらいじゃねぇ?」
花奏「就職には学歴が大事なんだ。大学に入るまで頑張れ。」
勉強か。やるにこしたことはないがやらなくても良いと思う。
海星「あれは何色?」
花奏「そうだな。青めの紫色だな。」
海星「ありがとう。」
よくこうやって色を聞くことがある。だけどあまり理解できなていない。青めの紫色…?わかんない。色ってどういうものなんだろう。
 ねっむ。午後の授業だりぃ~。僕は横目で隣を見た。花奏はいつも真剣だ。すごいな。集中力で僕が見てることすら見えてない。とりあえず、今のうちに寝るか。
 またこの世界。
海星「これは…。」
またあの時と一緒だ地が揺れ世界が崩壊する。また起こされるのかな。
海星「あれ?え?」
見える景色が変わった。変わって見えた。脳がまた新たな障害を生んだのか?
ドレミー「おひさ~。」
軽快な声が背後から聞こえた。少しびっくりしたが。その女性をみたとき、胸がホッとした。
ドレミー「もう、急に元の世界に飛ばされるんだから、私、困ったじゃない。」
海星「この景色はいったい…。」
ドレミー「君はこれが見たかったんじゃないの?これは赤、青、黄色、緑、紫。他にもたっくさんの色があるわよ。」
これが、色。きれいだ。僕はその感情が抑えられず涙を流していた。
海星「これが、色なのか。生まれて初めて見た。ありがとうございます。」
ドレミー「ここは夢の世界。いつだって君等の目的の援助をするさ。じゃぁ、私はこのへんで。あとこれ。色の説明とかが書いてあるから必要なら使いな。」
そう言ってその女性は消えていった。
海星「さぁ、色を満喫しようか。」
                     end

6/21/2024, 1:42:00 PM