北極星は、南の形を夢見た

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#85「記憶の海」

はて、いずこへ?

よせて、かえす波に手を浸しているような
そんな意識から我に返る

海馬が、壊れた玩具のブリキのように
ギギギと繰り返し音を鳴らしている

もはや錆びてしまったブリキは
終わりのない水平線をなぞるだけであった

そこへ、わたしと名乗るものは問うた

「貴方は、まさか死んでいるのではあるまいな」

いやぁ、ね。
実はわたしも思っていたよ
思い出を持たない記憶の海は
はっきりいって…

はて、いずこへ?

5/13/2025, 10:41:32 AM