よつば666

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お題『とリとめのない話』

 大神小真莉(おおがみこまり)はとりとめのない話を長々と喋る。ターゲットは決まって大神家長男天河(てんが)である。

小真莉「お兄ちゃん、聞いてや!今日な朝ラジオ体操で学校行ったんやけど、ずるい奴が居ったんよ。小真莉ははじめから体操してんのに。凛(りん)ちゃん、明日から旅行行くんやってえぇなぁ。小真莉もどっか行きーたいーなぁ〜。近所の駄菓子屋あるんやんかぁ……」


大神は夏季補習が終わってからバイトに行くまでずっと妹につきまとわれ話しかけられていた。
自分の部屋で机に向かって夏休みの宿題をしている現在(いま)も。いい加減耳障りな話に我慢の限界を超えかけ小真莉を叱ろうとしたその時、次男の健太(けんた)がドアをノックして部屋に入り声をかけた。

健太「アニキ、母さんが台所に来てって呼んでる」


大神(天河)「……わかった。今行くわ」

椅子から立ち上がり小真莉から離れる時小真莉は大神の腕を掴んだが、無言で簡単にそれを振ほどかれた。
部屋を出る時ドアの近くに居た、健太に小声で「助かった」と礼を言った。
小真莉は、その場で座り込んで、泣きそうになりがらも健太をキッと睨む。

小真莉「健兄(けんにい)のいじわる」

健太「いじわるちゃうわ。本当(ホンマ)に母さんに呼ばれたんやからしゃーないやろ。それに兄貴の勉強の邪魔したらあかんやろ」

複雑な話になるが大神家3兄弟妹(きょうだい)は全員血が繋がっていない、異母兄弟妹である。長男の天河は前妻の子、次男の健太は愛人の子、長女の小真莉は後妻(今の母親)の子なのである。

End

12/18/2024, 11:53:27 AM