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「これ、本当に書いてたんだ…」

私にはママとお母さんがいる

ママは私を産んでくれた人で

お母さんは父親が再婚した人だ

当時小さくて生意気な私は「家族になっても良いかな?」と目線を合わせて聞いてくれたお母さんに対して

「家族になりたい理由を紙に書いて」とそっぽを向いて言い放った

お父さんは怒ってたし、お母さんは困ってた

本当に可愛くない子どもだったと思う

結局その後、何回か皆んなで出掛けて、徐々に私はお母さんに慣れていって

お父さんとお母さんは再婚した

複雑な気持ちがなかったわけではないけど、割と上手くやってたと思う

お母さんは普通のお母さんになってくれた

優しい時は優しくて、怒るところは怒る

自分がこの人から産まれてないって忘れる程だった

久しぶりに実家に帰ってきたのは年末年始の休みがあったから

正月は皆でトランプやったなってお父さんが急に言い出して、そう言えばトランプどこやったっけ?ってお母さんが言い出して、押し入れじゃない?って言った私が探しに行かされた

そんな時押し入れから出てきた有名なお菓子の黄色い缶

その中から出てきたのはトランプじゃなくて、ひらがなと簡単な漢字で書いてある大量の便箋

“〇〇ちゃんとお父さんとかぞくになりたいのは〇〇ちゃんとお父さんが大すきだからです”

“3人でゆうえんちにいったときにこにこしてくれたね!これからもまたいっしょ行きたいです”

“ママが大すきな〇〇ちゃんが大すきです、ママのおはなしたくさんきかせてほしいな”

“これから〇〇ちゃんとお父さんとずっといっしょにたくさんわらっていたいです”

何度も書いては消されていて読みづらい箇所がいっぱいあった

きっと一生懸命、何度も考えながら書いてくれたんだろう

一度も読ませてくれたことはなかったけど

「トランプ見つかった?それ…」

部屋に入ってきたお母さんは私が持ってる手紙を見て驚いた顔をしてる

「こんなに書いてくれたのに、どうして渡してくれなかったの?」

「…上手く書けなくて、子どものあなたに気を遣わせたくないし、なんて言ったら伝わるかなとか…たくさん書き直してるうちにあなたが受け入れてくれたからもう渡す必要ないかって」

「渡してくれたら良かったのに…」

「良いのよ、もうお母さんの夢は叶ったんだから」

「夢って?」

「あなたのお母さんになること」

もう捨てちゃうかってお母さんがいくつか手紙を手に取ったから私はそれを慌てて奪い返す

「これは私宛の手紙なんだから私のもの!」

私は外に出した手紙を大事に缶に戻す

生意気な小さい頃の私

まだ受け入れなくてお母さんにひどいこともたくさん言っただろう

お母さんって呼ぶのも少し時間がかかった

そんな時お母さんはどう思ってたんだろう

寂しかったかな、辛かったかな

それでも私のお母さんになるのが夢だったって

それが叶ったって言ってくれるんだな

「お母さん…」

「ん?」

「私のお母さんになってくれてありがとう」

そんな事恥ずかしくていつもは言えないけど言わなきゃならない気がした

当時たくさん考えながらこの手紙を書いてくれたお母さんに

私と打ち解けようと頑張ってくれたお母さんに

私をここまで育ててくれたお母さんに

今も心配してくれてるお母さんに

顔を上げたらお母さんは笑ってたけど今にも泣きそうな顔だった

「ほら、お母さんの夢叶ちゃったでしょ」

その顔を見て、その言葉を聞いたら私も泣きそうになっちゃって、2人でぐずぐずいってた

その後、なかなか帰ってこない私とお母さんの様子を見にきたお父さんが泣いてる私達を見てオロオロしてた

2/2/2025, 12:47:24 PM